こんにちは。
ジュエリーコーディネートガイドへようこそ。
この記事では、日本のジュエリーの歴史についてザックリまとめています。
世界のあらゆる民族は、何かしら、その民族特有の装身具(宝飾品、ジュエリー)の歴史を持っています。
用語の定義:装身具は身を飾るもの全体。宝飾品、ジュエリーはそのなかでも貴金属や宝石を扱うものを指します。
そんななかで、長い歴史と文明を持っているにもかかわらず、宝飾品というものを使ってこなかった特殊な民族がいます。
それが私たち日本人です。
日本人のジュエリーの歴史は、世界の中でも「例外」と言われているんです!
とはいえ、私たちの祖先がまったく装飾品を使わなかったというわけではありません。
縄文・弥生・古墳時代あたりの6世紀ごろまでは、日本でも数多くの装身具が用いられてきたそうです。
・・なんですが、そのあとの飛鳥時代から1200~1300年もの長い間、日本の生活からは装身具がなくなってしまうのです。
飛鳥時代に姿を消した装身具が、次にまた世の中に出てくるのは、なんと江戸時代の末期~明治時代のはじめ(!)でした。
なぜそんなに長い間、日本人は装身具を身につけなかったのだろう・・!?
この歴史の背景には、さまざまな理由が考えられています。
まずあるのが「装身具の代わりとして、着物、櫛、こうがい、武具や刀などの実用品を装飾的なものに変えていったのではないか」説。
ほかには「着物そのものが美しいので装飾品が要らなかった」とか
「日本人の美意識として見せびらかすことを避けたのではないか」という説もあります。
ですが、実際のところはわからりません。もしかすると「これらすべてが合わさっての現象なのかもしれない」と『ジュエリーの世界史』の著者・山口遼さんは著書のなかで書いています。
ということで前置きが長くなりましたが、この記事では、ジュエリーの歴史に関する本を複数冊読んで「日本におけるジュエリーの歴史」をスーパーざっくりまとめてみました!
一番下に参考文献もまとめていますので、ご興味のある方はご覧ください。
日本のジュエリーの歴史【~飛鳥時代まで】
日本の装身具の歴史に最初に登場するのは、身体への入れ墨と鋸歯(きょし)加工だそうです。
入れ墨はわかるけど、鋸歯(きょし)って何・・?って感じですよね。
鋸歯(きょし)・・・のこぎりの歯。また、それに似た鋭い歯や形状
つまり、歯を削っていた、ってことのようです。
まだ装身具をつくるような材料がなかった時代には、人類は自分自身の体に装飾を加えていたということ。
その後、縄文時代に入って「装身具」が生まれ、耳飾りや腕輪、櫛(くし)が登場してきます。石や粘土でできた耳飾りが出土しているそう。
弥生時代に入ると青銅器が登場し(このあたり歴史の授業でやりましたね~)
古墳時代(3世紀~6、7世紀)には朝鮮との交易が盛んになり、古墳なども作られるようになります。
この頃から死者は副葬品とともに葬られるようになったんだとか。
この時代の装身具は勾玉(まがたま)と真珠。
装身具のいちばん最初は、動物の牙に穴を開けただけのものだったそうなのですが、だんだんと素材を玉の形にデザインして進化していったそう。
勾玉の材料になったのは、翡翠(ひすい)やガラス、水晶、めのうや琥珀(こはく)など。
勾玉には穴が開いているので、そこに糸を通してネックレスにされたり、アンクレットとしても使われていたそう。
東京国立博物館で実物を見られるらしいです。行ってみたい・・!
他にもすでに金や銅を使った宝飾品も出土しているそう。ただ細かい細工がされているものは朝鮮や中国から日本に渡ってきたもので、国内で作ったものではない説が濃厚らしい。
でも古墳などから装飾品が出土するということは、当時の日本人が装身具を大切にしていたってことなんだろうと思われます。
古墳時代までは、日本人の装身具の使い方や作り方は、世界のほかの民族とほとんど変わりません。変化が出てくるのは、この後に続く飛鳥・奈良時代から。
日本人の生活から、装身具となりうるものが忽然と姿を消したそうです。
タイムスリップできたら、当時の人に「なんで装身具がなくなっていったの?」ってめっちゃ質問してみたい。
日本のジュエリーの歴史【江戸時代後期~現代】
そこから千年以上たって、次に歴史上に装身具が出てくるのは、江戸時代の末期から明治の初期。
きっかけは、洋風の服装という文化が日本に入ってきたこと。
文明開化しなきゃじゃん!やばい!洋服に合わせるもの作らなきゃ!ってなって、装身具が復活したようです。
というわけで、日本は長い歴史を持っているのに「千年以上もの間、装身具を身につける文化がなかった」という不思議な国だそうです。
考えてみると確かに不思議かも。
ヨーロッパみたいに歴史を通じてたくさんの国が生まれたり消滅したりしていたら、昔あった国の装身具がごっそりなくなったりしても仕方ない気もするけど、
日本ってずっと日本だったのに、千年以上も装身具の歴史がぽっかりない期間があるっていうのは、なんか変な感じです。
でも、じゃあ日本に金属の加工技術がなかったというと、決してそんなことはないらしい。
ジュエリーを作るのと同じような金属加工技術はあって、仏具、武具、袋物などで使われていました。櫛(くし)やかんざしなどは、金属加工技術を使って作ったものの典型です。
また、戦国時代からの刀を作っていた技術が、現代のジュエリー制作の現場でも使われている技術のもととなったそうです。
刀作りの職人さんは10年単位で修行して技術を学んだんだとか。
確かに江戸時代って階級社会っぽいし、身につけている刀でも武士の格を示すものだったりしたかもしれないよなあ、とは思う。
めっちゃ貴重な技術が使われているとか、ものすごくカッコイイ形状だったかとか、きっと職人の間でも競い合ってたんじゃないかなあ。しらんけど。妄想です。
ただそんな刀職人たち、明治になって廃刀令が出たことで、いきなり職を失うことになります。
諸行無常感がすごい。AIに仕事を奪われるレベルじゃない衝撃だっただろうな・・と勝手に妄想。
刀職人たちが次の仕事として選んだのが、装身具作りでした。
洋装化に合わせて支配階級のための装身具(=ジュエリー)が作られるようになっていったという時代の変化と、装身具にこれまで培った金銀細工の伝統を生かせるっていう点がかみあったんだと思われます。
ただ明治~大正の時代は、ジュエリーはまだまだ一般市民にはいきわたらなくて、支配階級の人のためのものだったそう。イメージとしては官僚の奥さんとか良家の娘さんとかですかね。
この時代に華やかな社交の場に出たり、外国人と接することがあった階級の人、ということだと思います。
日本のジュエリー史において大きな出来事といえば、養殖真珠に成功したことなのではないかなあと思います。
1893年(明治の中頃)、御木本幸吉さんが世界で初めてアコヤ真珠の養殖に成功しました。
御木本・・・この名前を見てピンと来た人も多いのでは・・?
そう、御木本幸吉さん、ミキモトの創業者です。
ミキモトといえば真珠(パール)ですよね。
真珠は古代から世界的に人気だったけど、自然に(天然の貝から)綺麗な真珠が取れる確率ってすごく低くて希少だから高価だったのです。
その真珠の養殖に成功したのが日本でした。
養殖真珠の技術が生み出されたことによって価格が下がり、だんだんと一般大衆も手が出るものになっていきました。
まあ当時は世界からの養殖真珠なんて真珠とは認めないみたいな反発もあったのですが、最終的には養殖真珠も真珠と認められるようになりました。
いま流通している真珠のほとんどは養殖真珠といわれています。
真珠はめっちゃ奥が深いので、別の記事でまとめます。いったんここまで!続きをお楽しみに。
今日の感覚でいう「ジュエリー」が、日本の一般大衆にも浸透していったのは、第二次世界大戦後のあと。昭和40年代からだそうです。
・・・ということは、日本にジュエリーが上陸してからまだ50~60年とかなんですよね。
意外と歴史が浅い。
「婚約指輪は給料3か月分」とかいうフレーズを聞いたことありませんか?
あれもデビアス社という会社が打った広告の宣伝文句です。婚約指輪という文化が日本に生まれたのも本当にここ数十年の話。
・・なんですけど、現在の日本は、世界第3位のジュエリー市場だそうです。
千年以上も装身具を身につける文化がなかった国が、いまや世界有数のジュエリー大国になっているという、なんとも不思議な現象が生まれています。
私個人としては、日本におけるジュエリー文化の歴史の短さが、現代の私たちにとってのジュエリー選びを難しいものにしているなあ、という感覚があります。
この感覚こそがこのサイトを作ろうと思った背景なので、少しずつ記事にまとめていきたいと思います!
よろしければまた遊びにきていただけたらうれしいです!
参考文献
以下にこの記事の参考にさせていただいた書籍を貼り付けます(画像あるいはリンクを押すとAmazonで見られます)
『ジュエリーの世界史』
この本はジュエリーの歴史を知る入門編としてめちゃくちゃ面白いです。この本を読まなかったらこのサイトを作っていなかったかもしれない。
今回取り上げた日本の歴史だけじゃなく、ティファニーの歴史、パールの話、ロシア王室の話などなど、興味深い切り口ばかりで、何度も読み返してる。文庫本で高くないし絶対に読んで損はないと断言します。
『ジュエリーコーディネーター検定』のテキスト
ジュエリーコーディネーター検定のテキストです。検定試験・・!?って感じですが、歴史やジュエリーの品質などについて、内容がまとまっていてわかりやすいです。
いま見たら中古のみの取り扱いになっていたので、もしかしたら改訂するのかも・・?という感じではありますが、引用元として貼りますね。
『ジュエリーの歩み100年』
『ジュエリーの歩み100年―近代日本の装身具一八五〇‐一九五〇』(美術出版社)関 昭郎
この本は日本のジュエリー、1850年~1950年の100年間にフォーカスした本です。
文章は少なめだけど、写真が綺麗です。ある程度、日本のジュエリーの歴史に関してのインプットをした状態で読むと面白いと思います。
写真を通して職人さんの技の美しさが素人にも伝わってきて、ぐっと息をのむ感じです。個人的には当時の社会の令嬢さんがどんなふうにジュエリーを身につけていたのかも参考になりました。
以上、ジュエリーの歴史【日本編】でした。
ここまでお読みくださってありがとうございました。
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